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Channel: ニホンオオカミを探す会の井戸端会議
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紀伊半島のニホンオオカミ-2

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毎日の様に届くメールに押しやられ、紀伊半島での清水氏の体験談は受信トレイの下段に埋もれてしまったのですが、それらを思い起こすメールを届けてくれたのは、この欄に2016429日「2016312日 那智大社の参道で」の掲載をした事のある、埼玉県富士見市在住の圓谷秀幸(ツムラヤヒデユキ)さんでした。
那智大社の参道でライデン自然史博物館の剥製(タイプ標本)とそっくりの動物と遭遇して以来、紀伊半島通いをしていたらしいのです。

イメージ 1
ニホンオオカミの原本・タイプ標本
 
【ご無沙汰しております。以前何回かお話させて頂いた富士見市の圓谷秀幸です。
今月熊野を旅行した際、本宮の温泉宿で興味深い本を見つけました。
地元の出版社の本らしいのですが、昭和末期、目撃例でなく狼の仔犬を抱いたと言う驚愕の体験談が載せられていました。
写真で保存した本の文面を添付しましたので、見て頂ければと思います。】
以上が9月末私に届いた文面で、下記がその書籍からの抜粋です。
 
【杣人である稲垣義弘氏は、興奮した表情でオオカミらしき動物に遭遇した時の様子を語ってくれた。
同氏は昭和60年の6月に、本宮町在住の井戸清氏と二人で、池原ダムの下流に在る下北山村の原生林と断崖絶壁の続く摺子谷へ「ウチョウラン」を探しに入った。
二人が少し離れて岸壁を見上げながら花を探し始めた時、稲垣氏が崖の上の方で何か動物の声のようなものを訊いた。
稲垣氏が井戸氏に「おい、今何か聞こえなかったか」と訊くと「聞こえた」と井戸氏が答えた。
犬の声の様にも感じたが違う様にも感じた。
高さ60mの岸壁の天辺に登った時、近くの小さな岩穴に何か動物の巣の様なものがあった。
中を覗いて見たが巣の中は空っぽ。時刻は午後三時を過ぎていた。
移動しながら午後四時頃、近くにある別の崖の上に登った。
その時、崖の先の方にある小さな岩穴で何かがわずかに動いた。
近付いてみると、それは生まれて余り日が経っていないのか、目も開いてなくて臍の緒がまだ残っている仔犬の様だった。
体長はおよそ十~十二cm位、全部で四頭いて共に黒毛だった。
抱き上げてみると、牡二頭、牝二頭だった。
急いで井戸氏を呼んでそれを見せると、彼は暫く見てから「それはオオカミの仔や」といった。
そう云われてみると耳も小さく、頭が少し長く感じたと云う。
稲垣氏はその中の二頭を元の穴に戻し、牡と牝の二頭を抱いて家に持ち帰ろうとした。
すると井戸氏が「おい、それどうするつもりや」と訊いた。
「家で飼うて猟犬にしよ思って」稲垣氏が答えると「やめとけ、そんなことしたらあかん。オオカミは家まで着いて来る云うぞ、そこへ置いとけよ」と云った。
「俺は二頭だけ連れて帰りたかったんやが、あかん置いとけて、あんまりしつこく云うもんやから仕方なしに戻したんや」と稲垣氏は云った。
そして親はどんな奴か見てやろうと思い、二十m位離れた岩陰に隠れて待ったが現れない。
次第に暗くなって来たので、とうとう諦めて山を下りた。
それにしても、もしオオカミの仔だったとしたら何故親が彼らを襲わなかったのか不思議である。
狐や狸なら理解出来るのだが、もしかすると人間は鉄砲を持っていると云う事を学習しているのかも知れない。
それからほどなく、近在の猟師から稲垣氏に電話が有り、「この間見つけたという動物は山犬ではないか、と云う人もおるが山犬だと人間が二十mも離れたら親は出て来る。
出て来なんだのは用心深く利口なオオカミじゃからや。
人の姿や臭いが完全に消えるのを、暗くなるまでじっと待っていたやろ」と云ったそうである。
「どうやら井戸さんから話を聞いたらしい。俺はまだ誰にも話してなかったからな」稲垣氏は云った。
そして更に猟師は「だからあれは間違いなくオオカミや、俺やったら一頭百万円で買うぞ」と云ったそうである。
それを聞いた稲垣氏は、翌日一人でオオカミを探しに飛んで行ったそうだが、いくら探しても見つからなかったそうである。
この話を聞いて、やはりオオカミは生きていたんだ。
近付いてくる人間の気配を感じていち早く子供を銜えて別の崖の穴まで運んだのだろう。】

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「癒しの山大台ケ原」第二部の「オオカミ夜話」からの抜粋

イメージ 3
「オオカミ夜話」の主要部
 
圓谷さんから情報が寄せられ内容の確認をしている時、偶々、前記の伊藤博之さんから電話が有りましたので、圓谷さんからのメールを転送しました。
すると、
伊藤です。送っていただいた資料を拝見し、地図で確認したら驚きました!私が遭遇した地点は摺子谷の直ぐ北側です。
確か長男が生まれる前の年なので1998年、平成だと10年です。】
の文面と共に概略図が添付ファイルで送られて来ました。

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大徐ヶ沢不動滝で伊藤さん

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伊藤さんから送られて来た概略図

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概略図の詳細
 
好天が続き、山中のカメラメンテナンスとSDカードの分析で多忙でしたが、伊藤さんからの概略図を見た私は圓谷さんから戴いた情報の確認に熱中しました。
実を申すと、東北地方からの目撃体験も抱えていたのですが、私が常々申している様に、届いた1つの情報は点に過ぎませんが2つになれば線になり、3つになれば面になります。
今回も情報が重なり合って、濃い、太い線になった様に思えたのです。

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奥秩父の山で桜が狂い咲き

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クマのご機嫌を損ねたカメラ

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桜が咲いて紅葉が始まって

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中津川の広場にお馴染みの屋台

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肉を食われ客寄せまでさせられているイノシシ
 
圓谷さんからは著者・登場人物の連絡先も送られていましたので、先ず稲垣義弘さんに連絡しましたが連絡が付かず、次に井戸清さんに電話しました。
井戸清さんは和歌山県田辺市本宮町在住で現在81歳。  
池原ダムでの件は456歳の頃の事で、突然の電話にも拘らず丁寧に対応して戴きました。
 
早々に稲垣さんの現況を伺いますと、「大ホラ吹きだった稲垣さんは45年前死んだ」と、思いも掛けない返事が返って来ました。
上記文面を読みながら確認作業を行ったのですが、 
【穴の中の動物は、全く毛が生えていない状態で、生まれて23日。
目が開いてなかったし、チョット大きいネズミ位のサイズで、キツネかタヌキの子供の様に思えた。
黒っぽくは無く、黄色っぽい・茶色っぽいと云うか、テンの子供の様にも見えた。
2匹の子供を持ち帰る事に反対した理由は「オオカミは家まで着いて来る云うぞ、そこへ置いとけよ」と云う事では無く、車での移動が130200と長く、連れて帰っても死んでしまうから…との事で、井戸さんが池原ダムの件を他人に話したことは全く無かったとも仰っていました。
 
私は以前奥多摩で、鹿の骨が散乱している周辺に動物の巣穴が有るのを発見し、1年間定点観測した事があります。
その巣穴はキツネの巣穴で、そこは標高13001400mの杉林の中、土の斜面に幾つが穴が掘られている現場でした。
また群馬県御巣鷹方面で、タヌキの巣穴周辺にもカメラを設置し1年間の定点観測をしたのですが、どちらも土の斜面でした。

イメージ 12
雪の斜面の巣を覘くキツネ
 
摺子谷の巣穴周辺の標高は700800mで、「ウチョウラン」を探しに行った岩場周辺。
私の経験で云うなら現場の環境は、キツネ・タヌキよりヤマイヌ・オオカミかな…とも思いたくなるのですが、生活の糧を長年山で得て来て、現実に動物の子供4匹を手に取った井戸さんが仰ることにも肯けます。
そして、「6月に生まれたオオカミ・ヤマイヌ」とすると生誕日が遅過ぎる感じがするのです。
家イヌなら兎も角、食料の全てを自活しなければ野生で生きる事は許されないのですから。
 
多くの点で話の食い違いが生じて、稲垣さんが亡くなった今となっては、その真相を探る事が不可能となってしまいました。
ただ、その十数年後摺子谷の尾根を越えたダム湖畔で、伊藤博之さん等が「沢なのか崩れている場所なのか」・・・を駆け上がるイヌ科動物と遭遇した事は紛れもない事実なのです。
伊藤さんは「猟犬ってジャンプ力凄いな!」と思った・・・としていますが、遭遇時期が5月初旬と云う事ですので、猟期の終わり215日から2ヶ月半も経っていて、家イヌでは無い可能性が高いのです。
     
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1013日に記した「秋のオオカミイベント」ですが、
宮城県村田町歴史みらい館でのオオカミイベント【企画展「再び、オオカミ現る!-東北地方の狼信仰-」】のチラシが送られて来ましたの、改めてご紹介いたします。
会期:平成301019日(金)~1219日(水)
開館時間  9:0017:00
(展示室への入室は16:30まで)
観覧料  無料
休館日  月曜日
交通案内
 ・東北自動車道村田ICより1分・宮城交通高速バス 村田・遠刈田行き、村田町役場前下車、徒歩5
 ・JR東北本線大河原駅下車宮城交通バス・村田・川崎行き・村田中央下車 徒歩10

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企画展「再び、オオカミ現る!」
 
またこちらも遠方ですが、奈良県大淀町で129日に「吉野・熊野をつないだ偉人 岸田日出男の遺したもの」と題したシンポジウムが開かれます。
ご都合のつく方はお越しになったら如何でしょうか。

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岸田日出男翁のシンポジウムポスター

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岸田日出男翁のレリーフ
 
そして1118日(日)私のトークイベントですが、参加希望者多数の為ダブルヘッダーのトークとなりました。
1回目は12:30開場・13:30イベント開始・15:00終了・その後質問の時間を30分位。
2回目は16:00開場・17:00イベント開始・18:30終了・その後質問の時間を30分位・・・となっております。
宜しかったらお越しください。

イメージ 16
「私の中のオオカミ」のチラシ

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