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Channel: ニホンオオカミを探す会の井戸端会議
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紀伊半島のニホンオオカミー1

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【昭文社刊の山と高原地図№56大峰山脈を見開くと、狼あるいは犬と記された地名がやたら多いのに驚く。
狼谷、狼尾、狼平、狼横手、犬取り尾、犬ガエリ、犬取り谷、犬取り滝、・・・そしてそれらの多くは稲村ヶ岳(1725、9m)付近に集中している。
稲村ヶ岳東面神童子谷の狭い山域に、これ程オオカミ関連の地名が集中しているのは、ただ単に生息数が多かったと考えるよりは、人々の生活の中にオオカミが入り込む程、関わりが深かった事を示している様に思える。
これ程の集中度は、私が知る限りでは日本中探しても、多分ここだけで有ると云える。
五万分の一の地図上に於いてさえこれだけ明記されているのだから、近辺をくまなく歩いて聞き取り調査でもしたら、恐らく狼と犬の文字で埋め尽くされるのではないだろうか。
それとも開発と称する二文字が、国内のどんな山奥まで氾濫している今日では、遅きに逸して徒労の調査と化すのだろうか。
兎も角、私がフィールドとしている奥秩父山地の、同じ5万分の一の地図上で探しても、狼谷、狼平、狼窪、・・が見かけられる程度なのだ。】 
 
上記文面は岸田日出男著「日本狼物語」復刻版に、私が十五年前記した“あとがき“からの抜粋です。
著書には数多のオオカミ体験例が記載されていて、非常に興味を持たれる処ですが、岸田翁の調査時期は昭和10年前後と非常に古く、その後の空白時期が長く続いています。
紀伊半島周辺でオオカミ調査をされている方が存在しない為でしょうか、ポツンポツンと思いだした様に、それらの類が私の下に届くのですが、それも多くは単発的に・・・でした。

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岸田日出男翁のレリーフ

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「日本狼物語」の原本

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山と高原地図№56の稲村ヶ岳周辺

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「日本狼物語」復刻版
 
処が、2018330(金)1538付でこんなメールが届きました。
【八木様  はじめまして。和歌山に住む清水といいます。
何年か前に和歌山の果無山脈付近で野犬の群れを見てから、ニホンオオカミに興味を持ち出しました。
私は運送関係の仕事をしておりまして、和歌山の上富田町から本宮町に抜ける311号線を3年前夏の昼間荷物を運んでいたのですが、休憩しようと旧311号線に入り車を停めると、目の前に八木さまの撮影された写真そっくりのイヌが数匹、沢からかけ上がってきて目の前を通り杉木立の中に消えて行きました。
 
最初は猟師の捨てたイヌかなと思ったんですが、気になりネットで検索したら八木様の撮影した写真に辿り着き、余りにも似ていたのでビックリしました。
それからは気にしながら旧国道を通るのですが、見ていません。
次に同じようなイヌを見たのが、ちょうど1年前。
 
田辺市から龍神村に抜ける県道29号線を夜中走っていましたら、虎が峯付近でこれもまた八木様の撮影されたのと同じ様なイヌを見ました。
佇んでこちらを見ているので車を停めるとすぐさま藪の中に消えて行ったのですが、確かにヘッドライトに照らされた姿は秩父野犬に似ていました。
仕事関係のお客さんや、お年寄りに色々な話を聞くと「和歌山の日高川町旧美山村で約60年前位に遠吠えが毎日聞こえた」とか、これも聞いた話50年ほど前らしいのですが、龍神村で畑仕事をして、トイレをしたらその尿を舐めにきたとか聞きました。

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正面からの秩父野犬

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果無山脈周辺地図

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ダムに沈んだ旧美山村産ニホンオオカミ根付け
 
私が見たのは野犬?かもしれませんが、まだ絶対にいてますよね!
色々見たり聞いたりしていると益々興味が出て来てまた夜中見たりしたらメールします!
一番良いのは写真に収めるのがいいんでしょうが、カメラを常時持ち合わせることもできず、携帯だと準備してる間に消えてしまうし(^^;)
オオカミ探索頑張ってください!】
 
秩父野犬的動物が…それも2度も眼の前に現れたとは、驚きの極地です。
メールを見て私は20183301750に 
【ご連絡有り難うございます。
興味あるお話ですので、詳細をお聴きしたいと思います。
清水様の連絡方法お知らせ願えればと存じます。
宜しくお願い致します。  八木 博】の返事を出しました。

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側面からの秩父野犬
 
興奮状態で夜を明かし、何やかや多忙な一日を送っていると、20171102日掲載の「ニホンオオカミに遇う方法」で登場した伊藤博之さんから電話が有りましたので、清水氏からのメールを転送しました。
すると翌日41日に、思いもかけない体験談が伊藤さんから送られて来たのです。

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オオカミ体験を多数持つ伊藤博之さん
 
【八木さん なんと!!
私が思い出した体験は20年前の事です。
残念ながら全くオオカミに関する知識も無い当時でしたので、毛色と筋肉質な印象がぼんやり残っている程度ですが、またもや繋がる様な情報・・・偶然にしてはちょっと恐ろしいです。
八木さんのブログを拝見していて、鷲家口→ダムというワードから紀伊半島と出てきて何か忘れて引っかかるものがあるな・・・と考えていたところに、池原ダムで同船していた当時の同僚ではありませんが、ほかの同僚から数年ぶりに連絡が来て「池原ダムで見た野犬!!」と思い出した次第です。
やはり多少のイヌの知識があると山に居る野犬は私のように猟犬が野犬化したものと考えるようですね。
土地勘は全くありませんが、紀伊半島エリアも人を寄せ付けない神がかり的な場所が多いように感じますので、やはり生息の可能性が高いですね。
 
池原ダムでのイヌ科動物と遭遇した時刻は出船可能時刻が6時だったと思いますので、ポイントには630700位ではないかと推測します。
舳先側に居た同僚が「あ!イヌが出て来た!」と言ってからかなりノンビリと会話しながら見ていたので、3分くらいは見ていたのかも知れません。
そして印象に残っている「沢なのか崩れている場所なのか」・・・を駆け上がるジャンプ力で「猟犬ってジャンプ力凄いな!」と思った記憶があります。
期待が高まりますね。】

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上空からの池原ダム流域

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ダムからの遠望
 
正しく「ニホンオオカミに魅入られている」としか思えない、度々の伊藤さん体験談です。
 
伊藤さんは当時、イヌとしてダム湖の動物を見ていた様ですが、私との交流の中でニホンオオカミの知識を深め、若しかしたら・・・の考えに至った訳です。
私としては、「池原ダムで昭和の終わりころ“見た”と云う情報が、何処かの書物に載っていた」・・・そんな記憶が蘇えったのですが、清水氏からの返事を心待ちにしていたのは当然の事です。
ところが残念なことに、清水氏からのメールが返って来る事は有りませんでした。
清水氏から詳細を伺いたかったのは勿論ですが、車にドライブレコーダー着用を薦めたくも有ったのです。
どれだけ興味深い話であっても、基本的に氏素性、連絡先を告げない人の相手をしないのは、過去の経験からの私の考え方です。
そんな中毎日の様に届くメールに押しやられ、何時しか清水氏のメールは受信トレイの下段に埋もれてしまったのですが、それらを思い起こすメールが9月末に届いたのです。
 
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前号でお知らせした「TOKYO GRAPHIE」の案内が、写真集Hodophylax~道を護るもの~」と共に、私の下に届きました。
取材先の多くは私からの発案でして、改めて写真集を手にする必要を感じていなかったのですが、現物を手にすると「百聞は一見に如かず」で、抱いていたイメージより遥かに素晴らしい出来栄えでした。
70歳が間近な私ですが、こうした作品制作のお手伝いが出来た事を心から喜んだ次第です。
多忙な毎日を過ごしていますが、TOKYO GRAPHIE」を一度覗いて見たいと考えています。
皆さんもいかがでしょうか。

イメージ 12
TOKYO GRAPHIE

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