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Channel: ニホンオオカミを探す会の井戸端会議
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岩手県博の頭骨2点-1

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このブログでの発信も、もう直ぐ400回に達しようとしていますが、ひとえに訪問者の皆様のおかげと感謝する次第です。
私からの発信は兎も角、皆さまからの情報により新しい発見に繋がり、それが順に順にと輪が広がり、現在に至っているのです。
未だ未だ埋もれた情報の掘り起こしが続き、未知への世界が開かれ、ニホンオオカミの真実に迫れるのではと、オオカミ三昧の日々を送っている私です。
 
昨年12/26に記した「ドタキャン話―2」の書き込みに「van*g*nwoodさん」から「東北地方にニホンオオカミの頭骨の存在が明らかになった・・・」とアクセス先を提示されました。
【東北地方産とされている標本は青森県産3例、山形・福島・県産が各1例、合計5例が記録されているに過ぎず・・・】に対しての情報提供でした。
アクセス先を開くと「胆江日日新聞」の2017.12.16の記事で、私の知識外の標本でした。

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van*g*nwoodさん」からの情報

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新しく確認されたニホンオオカミの頭骨
 
新聞記事の概要は『獣医師が奥州市江刺区の農家に家畜診療で訪れた際、馬小屋に在った頭骨2点を見つけ譲り受けたのは20年前の事。
獣医師の次男が2013年に畜産大学へ入学したので、同大学の教授に頭骨2点の鑑定依頼をした所、ニホンオオカミとイヌの頭骨である事が解かった。
最初の所有者は「先祖が、三人を食い殺したオオカミを退治し、魔除けとして玄関に祭ったと伝えられていた。研究になればとお渡ししたが、ニホンオオカミと解かり、言い伝えが本当だった。」と感心しきりだった。』と云うもの。
そしてこの頭骨2点は、121日まで寄託先の岩手県博で特別展示されている・・・と云う事でした。

イメージ 3
左ニホンオオカミ・右イヌ

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頭骨の右側面

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頭骨の左側面
 
間髪入れず所有者に連絡をし、岩手県博に保管されている頭骨の調査許可を得、以前、二戸市黒澤家の毛皮等を通してやり取りが有る岩手県博の担当官には、調査の日程が決まる間際に連絡・・・と、しました。
ただ、多忙の中でしたので、調査が実現したのは半年後、79日になってしまいました。
当初、経費の点で車利用―埼玉から岩手への日帰り・・・と考えていたのですが、最低10時間の移動時間と考えた時思う様な調査が出来るのだろうかと疑問を抱き、結局新幹線・レンタカーを使って、調査を充分にやろうと考えた次第です。
会の若い世代への橋渡しに好都合でしたから3名での調査を予定していましたが、最終的には研究仲間の森田正純さんも参加し都合4名の大所帯(?)になりました。

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会員として一番若い染矢さん・

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二戸市黒澤家所蔵イヌ科動物毛皮

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キャプションにはニホンオオカミ・・・と
 
世界中に散在する多くの標本を調査して来た私ですが、今回の岩手県博の標本について特に興味を抱いた点が一つ有りました。
それは、【馬小屋に在った頭骨2点の内1点がオオカミ、1点がイヌであった】という点です。
 
山根一眞さんがシンラの「動物事件簿・17回」上で「オオカミはいた。そして、ヤマイヌも。」と記した様に、私も「オオカミ・ヤマイヌは同一の動物が地方に依って呼び名が違う」のではなく、「違う動物を同一の動物の如く考えている」と考えています。
遡って見ると、長崎県出島でシーボルトが飼育していた「オオカミ」と「ヤマイヌ」を命名者のテミンクが安易に≪Canis hodophilax≫として発表した事から始まるのですが、これらの経緯は「動物事件簿」で詳しく取り上げています。
オランダ・ライデンの国立民族学博物館で哺乳類担当だったスミンク博士も同じ立場でしたが、山根さんを始めとする「動物事件簿」のスタッフはオランダまで足を伸ばして調査し理論構築をしていますので、若しかしたらスミンク博士の影響が有ったのかも知れません。
そうした意味も含め、山根さんの出版を待ち望んでいるのです。

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動物事件簿・17回での山根さん

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切手になったシーボルト

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シーボルトの助手が描いたオオカミ

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助手のド・ヴィルヌーブが描いたヤマイヌ

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出島で飼育していたオオカミとヤマイヌの頭骨

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哺乳類担当だったスミンク博士
 
【馬小屋に在った頭骨2点の内1点がオオカミ、1点がイヌであった】・・・と云う事の解明が出来たら、若しかして・・・そんな期待からの岩手県訪問でした。
 
当日は、最寄りの駅まで菊地獣医師のお迎えを受け、最初の所有者管野家まで足を運ぶ事となりました。
丘の中腹に建つ管野家は、畜産農家から離れる事十数年ですが、岩手の伝統的な「南部曲り屋」の面影を残す佇まいで、立派な蔵の中まで見せて戴きました。
以前、2つの頭骨は玄関口に大きな魚の尾(種類不明)と共に飾っていたそうですが、改築の際馬小屋に移したのが、菊地獣医の目に留まり・・・と云う事です。

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管野家の曲り屋風住居

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蔵を背に記念撮影
菊地獣医師・管野ご夫妻・私・森田氏

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玄関に今も飾られている魚の尾

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管野家に飾られてある新聞記事
 
管野家のご当主正嗣(まさつぐ)氏は現在71歳で、祖母から2つの頭骨について、「先祖が、三人を食い殺したオオカミを退治」としか聞かされて居らなかったそうで、私の一番知りたかった「三人を食い殺したオオカミ中の2頭」で有るかどうかの詳細は得られませんでした。
つまり、「集団で行動した(と思われる)動物達の中に、オオカミとイヌが混在していた・・・」か、どうか、と云う事なのですが、今回の調査では「あくまで私の推論」で終わってしまいました。

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管野家の裏山風景

堂の奥で捕獲されたが明治の昔、林だった


イメージ 20
管野家の蔵の入り口
 
 
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情報を戴いた「van*g*nwoodさん」誠にありがとうございました。
お陰様で大変立派な調査をすることが出来ました。
この場を借りて心から御礼申し上げます。
尚、次回は県博の調査内容と岩手県内での興味あるお話です。
どうぞご期待ください。

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