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Channel: ニホンオオカミを探す会の井戸端会議
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山中で発見したイヌ科動物の下顎骨

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二ホンオオカミ倶楽部の望月さんからメールが届いたのは1月19日の事でした。
山中で見つけた下顎骨写真の知見を聞く為でしたが、イヌ科動物に間違い無いとは思いましたが、大きさが不明でしたのでその旨伝えますと、続いてもう1枚の写真が送られて来ました。
それらを総合してみると犬歯(C)の輪郭にオオカミ的なものを、下顎の裂肉歯(M1)は全体的に大きく感じられ、若しかしたら・・・の期待感が浮かんで来ました。

イメージ 1
1月19日に送られて来た写真

イメージ 2
ストックのグリップのサイズが解る写真
 
その旨を望月さんに伝え、山中に放置したままの骨を回収し計測したいと願い出ました。
ただ、「M1の鋭い尖頭部分が欠損しているので異様に感じる。」
その理由として、「ライデンのタイプC標本の歯牙が従来の形を逸している-檻の中で飼育された為摩耗-の可能性が有る」とも申し添えました。

イメージ 3
ライデンのタイプC標本(剥製の頭骨)
 
下顎骨回収の山行は日を置かず計画しましたが、1月後半から3月に掛けて天候に恵まれず、現場に出向いたのが316日(水)になってしまいました。
二ホンオオカミ倶楽部から2名、私たちが2名、そして下顎骨発見者の本多さんを含めた5名が山梨県下の山中に向かったのですが、林道には2日前の雪が残った状態で、オフロード用の車2台が前進を阻まれ、現場到着は疎か、這う這うの体で引き返さざるを得ませんでした。
その後、オオカミ探しよりも蝶(夜の?)研究が優先する倶楽部顧問格の竹内さんが、2度ほど偵察方々現場まで足を運んだのですが、3/16同様残雪の為回収は叶いませんでした。
 
1か月後の4/16(土)、贅沢病の痛風で参加を見合わせた倶楽部の望月さん達ぬきに、私たち3名で現場に向かいましたが、林道の終点であるゲート前に望月・竹内さんが待っていたのには度肝を抜かれてしまいました。
都合4回目の竹内さんは兎も角、足を引きずりながら現場に向かう痛々しい望月さんの後ろ姿には並々ならぬ執念が感じられ、感嘆ものでした。
(とは言え後ろを歩く私が、毎日のビールと雲丹・イクラ類等の魚卵を食べるのを止めれば、もっと早く治るのに・・・と思ったのは経験者としての実感です。)
 
左程の苦労無く現場で、下顎骨の回収に成功しましてすぐさまM1の計測をしましたら、下顎全体の大きさから考えると22mmと大きく、犬歯も21mmと立派な歯でした。
十数年前和歌山県で調査した際の2つの根付と比べても犬歯(C)裂肉歯(M1)は遜色無かったのですが、他の歯(門歯、臼歯)が余りにも貧弱でしたので、上顎が有れば・・・と考え周辺の林中を5人で探したのですが、残念ながら見つけることは出来ませんでした。

イメージ 4
月16日採寸した裂肉歯(M1のサイズは22mm

イメージ 5
同じく犬歯(C)のサイズは21mm

イメージ 6
下顎骨の全長は150mm(位)

イメージ 7
御坊市小川家の下顎骨根付け

イメージ 8
小川家の根付け採寸図

イメージ 9
和歌山県旧大塔村歴史民族資料館蔵下顎骨根付け

イメージ 10
民俗資料館の根付け採寸図
 
帰り道、若芽の芽吹く前の林を思い思いに辿りますと鹿の頭骨に出会いこれがさっきのイヌ科動物の上顎ならば・・・とも思いました

イメージ 11
鹿の上顎・草食動物の歯と肉食動物の歯を比べて下さい

探し出した下顎骨を、オオカミの遺物として結論付けするのには無理が生じましたが、こうした作業を繰り返す中、願い事が叶う日が必ずやってくると感じられた、楽しい春の1日でした。

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