一昨年の秋、 TV番組のリサーチャーから電話が有りました。
水曜日夜7時からのバラエティー番組の特番に出演出来るかどうかの打診だったのですが、その番組は知っていましたし特別拒否する理由も無かったので、こちらの条件を飲んで貰えるならば・・・と言う事でディレクターの来宅を承諾しました。
コーナーの終盤リポーターのタレントが、眼を剥き出しにして「Nanikore!」って言う番組です。
こちらの条件は「番組協力費を戴く」と「ロケ先への送り迎え」でしたが、特番での大賞賞金30万円も魅力的でした。
数日後番組のディレクターが来宅し、詳細な打ち合わせをし、私のパソコンから必要な情報を取出した後帰ったのですが、その際、ロケ地は奥秩父山中で、登山の用意と昼食の準備も必要で有る事を申し添えました。
10月下旬の或る日の早朝、ロケ地への準備をしている私の携帯が鳴りました。
番組のADさんからでしたが、「私が車を運転する姿が欲しい」との理由で、やんわりとロケ車への同乗を拒否されました。
11月中旬の二ホンオオカミフォーラム開催・山中設置のカメラメンテナンス等でお疲れモードの体には、惨く感じられ当日のロケが案じられた次第です。
そして3時間後、案じた悲劇が登山口で起こりました。
その日の登山口
TV会社の正社員ですが、新入社員として見習い中のADさんが、通勤用の革靴で登ろうとしたのです。
現場まで2時間30分の登りが続く踏み跡程度の杣道で、崩壊地も数箇所有るのですから無謀にも程が有ります。
縮尺七万五千分一大秩父山嶽圖
こうした通行禁止の道がいたる所に
この鎖場の先に行くことは断念しました
その上彼等は、500mのペットボトル1本持っているだけで、口に入れる物を何も用意して来なかったのです。
50年近く山歩きをしている私としては、こうした行為に一番嫌悪感を抱きます
アシスタントディレクター
私のスニーカーを代用にし、食料は3人で分ける形にしたのですが、今までで最悪のロケで、兎も角無事に往復する事だけを考えて行動した一日でした。
これで終われば別段このサイトに取り上げる事も無かったのですが、下山し帰宅の準備をしていると、担当ディレクターが「三峯神社に寄りたい」と言い出したのです。
三峰神社から雲取山を望む
遠回りですが帰り道でもあるので、車を神社に回したのですが、境内を散策しながらディレクターが「4~5分歩く程度で良いキャンプサイトは無いだろうか?」と言って来ました。
呆気にとられた私が理由を聞くと、「キャンプサイトを舞台に芸人二人と私が絡んでくれないか」・・・・・と言うのです。
芸人二人とは誰か?と問うと、不細工と100kgの巨体を売りにしたW女史と、他の二人が産休中のK女史の名前を言いましたので、いい加減呆れてしまいました。
境内での撮影は当然神社の許可を必要とします。
境内の御犬様像位置図
呆れ困った私はその旨連絡をし私の心情も合わせて話したのですが、電話に出た博物館館長が撮影許可を下す事は有りませんでした。
バラエティーの極地とも言うべき巨体の二人と絡んだのでは、客員研究員としての私のイメージを、しいては博物館のイメージを損なうと言うものでした。
「Nanikore!」の番組は8年間続いたそうですが、今3月の番組改編を最後に幕を下ろすそうです。
番組の終わりを告げる当日の新聞
水曜日夜7時からTVのSWを付けても、これからは嫌な事を思い出さずにすみそうです。