7月最後の土曜日だったと思います。
7台のカメラメンテナンスを終え、三峯博物館で一休みしていたら、顔見知りの運転手さんが声を掛けてくれました。
「八木さんが喜ぶ話を持って来た!」と、笑みを湛えた朗らかないつもの顔で寄って来たのです。
神社の中で「私が喜ぶ話」なら、生存に関する情報しか有りませんから、全てに優先する事例です。
仲間との雑談を止めて、入澤運転手さんから体験者の名前と電話番号を教えて戴きました。
二瀬ダムが完成する頃の事例と言いますから、日本列島が開発に沸く前の事で、「幻の二ホンオオカミ」の著者柳内賢治さん達が、両神山で吼えられ遭遇する頃と重なります。
しかし、1頭のオオカミと20mの距離を置いて対峙していた柳内さん達と、大きく違う点がありました。
秩父市在住で現在84歳になる新井槌太郎さんと、同年代で新井さんの仕事仲間である長谷川光雄さんの体験談です。
そして、念頭に入れて置かなければいけない事ですが、狩猟も釣りも、昔と今を比べて大きく違う点は、生きる為に行うか、趣味で行うか・・・です。
奥秩父で渓流釣りをしても、釣果が思わしくないとよく言われますが、新井さん達が魚捕りをしていた頃は、常に5~6kgずつの岩魚を背に帰ったそうです。
生きる糧を得る為、実は、夜網打ち・・・投網を打って岩魚漁をしていたのです。
荒川源流域で滝川と入川の合流地点に建つ「扇屋」―食堂と宿泊を兼ね雁坂小屋も経営する奥秩父の山の情報発信地―で夕食のカツ丼を食べ、滝川本流に下りたのが18:00頃だったそうです。
夏とは言っても源流域の水は冷たく、河原の流木を燃やして体を温めながら上流に進んだのですが、川に沿って作られた森林軌道の終点まで辿って漁を止め、午前3:00頃帰途につきました。
帰途について間も無く・・・と言っていましたが、森林軌道を歩いていた長谷川さんが立ち止り「おい!なんだ!あれは!」と指差した先に、6~7頭のシェパード位の大きさの動物が居って、こちらに向かい1列に並び歩いて来たとの事です。
―全く無縁の柳内さんと新井さん長谷川さんが、対象動物としてシェパードを指した事は奇遇ですが―
動物たちは、2本の軌道が作る小さなスペースの中を、人間達を全く意に介せず、云わば雑踏の中を触れずにすれ違うが如く、奥に(上流に)向かったそうです。
動物たちの態度とは裏腹に、命拾いをしたと感じた2人の人間はいつまでも震えが止まらず、2度と滝川に足を踏み入れる事は無く、他の川筋にて漁をしたと言います。
1.滝川軌道跡分岐 2.残置レール
3.軌道上の橋 4.軌道上の落盤
5.残置枕木 6.軌道上の倒木
遭難騒ぎで迷惑を掛けた秩父警察へ謝罪方々、9月6日(土)滝川の森林軌道跡を辿って来ました。
7.軌道跡 8. 山の神
9.集材跡地の橋(終点) 10.終点の集材置き場
数年前、ぶどう沢でヘリコプターが墜落した日も、日本テレビ社員2名が遭難死した際も、滝川上流域でオオカミ探しをしていましたが、滝川の森林軌道跡を終点まで歩いた事が無かったのです。
生存説を否定する皆様。
新井、長谷川両氏の遭遇地点まで歩いて見ませんか。
ただ、平衡感覚の悪い方は行かない方が無難です。
秩父警察に厄介を掛ける恐れが有りますから。
それと、「居るかもしれない」・・・と、心変わりをするのが嫌な人も、止めた方が良いかも知れません。
反対に、是非ともオオカミ体験を希望する人・・・10月の奥秩父が最適です。
しかし、注意点が2つ。
雨降りの日は避けた方が無難ですし、熊避けの鈴はしないで下さい。
68人の体験者のデーターを昨日調べた結果です。