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Channel: ニホンオオカミを探す会の井戸端会議
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雲取山のニホンオオカミ-1

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居住地の上尾から新潟の実家に帰る途中、臨める山々の中で百名山は、丹沢山・富士山・大菩薩嶺・雲取山・両神山・筑波山・男体山・皇海山・日光白根山・赤城山・浅間山・武尊山・谷川岳・苗場山・巻機山・魚沼駒ケ岳の16座を数えられます。
私としては、実家から見え小さい頃から親しんだ魚沼駒ケ岳が一番立派に感じ、玄関に飾ってある早津剛画伯が描いた魚沼三山は、来宅する山岳関係者の全てが称賛する風景です。
16座中でも多くの山でオオカミ体験者が有り、私の下に届いていないのは筑波山だけです。
当然魚沼駒ケ岳もその中の一つですが、今回は東京都の最高峰として毎年多くの登山者が目指す、雲取山(2.017m)でのオオカミ体験を紹介します。

イメージ 1
早津剛の描く魚沼三山
   左から駒ケ岳・中の岳・八海山
 
山登りを続け経験を積んで、百名山を目指す様になる方が結構いるんですが、そんな中に石川県加賀市の沢喜代美さんがいます。
多くの事例がそうである様に、沢さんと私は全く面識が無く、メディアで私が紹介された際存在を知り、情報提供に至った典型的な例の一つです。
 
19928月のある夜、山仲間と連れ立って石川県加賀市を出発した沢さんは、関越自動車道路経由で奥秩父まで来たのですが、長旅に加え深夜三峰神社への山道を走る不安を感じ、国道140号線沿いの駐車スペースで仮眠を取りました。
翌早朝神社の駐車場を後に雲取山へ向かいましたが、20数年の山暦を数える沢さんは、これから始まる長い道のりを考え少しでも早く出発したかったので、下山後神社の参拝をしようと考えました。
参拝は兎も角、事前にガイドブックか何かで予備知識を得ていたなら、その後の展開が大きく変わっていたのでしょうが。

イメージ 2
三峰神社境内から雲取山を望む
 
一般的には6時間のコースタイムを要する行程ですが、石川県からの長旅が重なってか、沢さんには辛い雲取登山になりました。
ただ、道中には慰められることもあり、白岩小屋付近で雌鹿にバナナをやったり、写真を撮ったり、それはそれで想い出を一杯作る事の出来た山旅でした。
山頂直下30分位の所にある雲取山荘にその日の宿を取り、空身で頂上まで往復しようと小屋の外に出た時でした。
高床になっている箇所から小屋の裏手に眼を向けると、「こういう山中には不釣合いな立派なイヌ」が居るのに気付きました。

イメージ 3
神社から90分で霧藻ヶ峰に着く

イメージ 4
沢さんが鹿と遊んだ白岩小屋

イメージ 5
オオカミと遭遇した雲取山荘
 
その“イヌ”は獲物を追っているのか、他の“イヌ”の痕跡を求めているのか、頭を下げて匂いを嗅ぐ様子を見せながら、立ち止まらずに小屋の裏手を抜けて、沢さんの視界から消えました。
白岩小屋で鹿と遊んだ時使ったコンパクトカメラを右手に持っていたのですが、『誰が連れて来たんだろう!側に来たらウエストバックの中の食べ物でもあげよう』と、イヌとの接触だけを考えていた為、写真撮影は全く考えませんでした。
加賀市から常に一緒の行動をしながら、その時も側にいた沢さんの連れは、この時、すぐ目の前にいた“そのイヌ”には「全く気が付かなかった」そうです。
 
体の左側面を見せながら視界に入った動物は、小型のシェパード位で耳は立ち、尻尾は垂れ、意に反し、林の奥へと消えて行ったのですが、その間45秒の出来事だったと云います。
カメラの用意はあったのですから、その気になれば写す事も可能だったのですが、『立派なイヌがこんな山中に』と云う感覚ばかりで、撮影には至らなかったのでした。

イメージ 6
沢さんが良く似ていると云った動物
    九州の祖母山にて撮影
 
30分後雲取山頂に立ったのですが、あいにく霧が立ち込めて視界が利かずガッカリの状態でした。
が、“東京都の最高峰に立ってみたい”という願いは叶い、その事に満足しながら小屋に戻りました。
その日雲取山荘は夏の登山シーズンにもかかわらず、20人程しか宿泊者が居らず全員に聞きましたが、イヌを連れてきた人はいなかったし、小屋でイヌを飼っている事もありませんでした。

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雲取山(2.017m)山頂

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雲取山頂近くに在る狼平

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雲取山近くに在る七ツ石神社

イメージ 10
社殿の中の壊れそうなオオカミ像
 
翌日、三峰神社の宿坊の大浴場で汗を流した後土産物を見ていると、ニホンオオカミのロゴがやけに目に付いたので、若しかしてと思い参道を回って見ると、狛犬の代わりにお犬様像ばかりで、ニホンオオカミが神社の御眷族である事を知りました。
そこで初めて、昨日見た動物が「ニホンオオカミだったかも知れない」と、思いを巡らせたのです。
そうであるなら、何を差し置いても写真を撮っていたのに・・・と仰っていましたが、全ては後の祭りでした。

イメージ 11
三峰神社境内のお犬さま

私が沢さんから体験談を聞いた数年後、私の運転する車の前に秩父野犬が現れるのですが、その時は動物の特徴を聞くだけで、比較する材料を持ち合わせていませんでした。
ただ、同時期埼玉県の山岳救助隊の4人が、同じ山域で遭遇していたので、それぞれの体験が繋がり、私の中で太い線になったのです。

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